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TPS(Toyota Production System トヨタ生産方式)の導入を成功させる必要条件とは


○問題認識


多くの企業が、TPSの導入にチャレンジしています。
しかしながら、TPSの導入が本当の意味で成功した、すなわち
・TPSの手法、思想を取り入れたシステム(組織、体制、制度、しくみ)ができた
・システムを維持、発展させる力がついた
というレベルに到達した企業体は、極めてまれというのが実態です。

活動当初は、コンサルタントの先生のご指導の下、
・整理、整頓の徹底
・ラインの間締め、セル化
・Push方式からPull方式への転換
・各種資料の掲示による「活動、成果」の見える化
といった改善が行われます。

もちろん、こうした改善は大きな成果です。
しかし問題は、これらの取り組みが、
・『一時的にやらされた活動』ではなく、『継続的に自らやる活動』になっているか
・製造、資材、生産技術といった部門における、製造や物流の改善だけではなく、
営業、開発、 企画、経理などを含めた、企業全体の経営革新活動(現場の改善成果を経営に結びつける活動)として推進できているか
という点です。
仮に、これが不十分だとすれば、TPSの導入は、推進メンバーや製造部門の大変な努力にもかかわらず、徐々に縮小していくか、最悪の場合、内部に物理的、心理的な混乱を生じさせただけの自社には合わないものとして終わってしまいます。

では、一体どうしたらいいのでしょうか。

経験者の多くは、「トップが号令を出し続けること」と言います。
確かにそれは重要です。
でも、何を言うかが問題です。
「いいからやれ」方式では、一時的な成果は得られても真の成功は得られません。

この問題に対処するには、
・TPSとは何なのか(特にJust In Time を志向するとはどういうことなのか)の本質的な意味を理解すること
・何の為に、TPSを導入するのか(なぜ自社が、JIT志向の企業体に転換しなければならないのか)をはっきりさせること
・これらを、経営トップ、企画、経理など本社サイドを含め、全員が共有すること
が必要です。

つまり、作業レベルでTPSの手法を実践する前に(あるいは同時進行でも)、全員がその背後にある価値観、考え方に頭を切り替え、共通の目的意識をもって活動することが不可欠なのです。

端的に言えば、「企業全体の価値観、考え方をTPSモードに切り替える」ということです。

「そんなことは分かっている、出来ている」とおっしゃる方がいるかもしれません。
でも本当にそうなっているのでしょうか。

・「トヨタ方式は、原価低減を狙うのではない」この言葉の意味が、全員に徹底されているでしょうか。
・工程(ライン)毎の出来高や、能率、操業度などを予算との比較で評価する仕組みになっている、ということはないでしょうか。
・期末になって、予算達成のため、特別なことをやっているということはないでしょうか。
・「いいからやれ」方式で、現場に「なぜやるのか、経営にどう結びついているのか」を問わせない風土になってはいないでしょうか。

建前ではないのです。
実態としてどうなっているかが問われているのです。


○企業全体の価値観、考え方をTPSモードに切り替える方法


前述の通り、「企業全体の価値観、考え方をTPSモードに切り替える」はTPS導入の必要条件です。

しかしながら、これは大変難しいことです。
一度や二度の研修では、ほとんど効果がないと言ってもいいでしょう。

しかし、一つだけいい方法があります。

それは、「管理会計のしくみをTPSに整合させる」ことです。
管理会計のしくみの中で問われる管理項目、指標は、企業全体の共通言語です。
経営理念がどうあれ、改善活動のスローガンが何であれ、これこそが、企業体としての価値観考え方(組織体質、風土)を無意識のうちに形成しているのです。
これをTPSに整合させ、会計とリンクしてTPS活動を推進するのです。

これらは、TPSに取り組む活動を会計で統制しようとするものではありません。
組織体としてのTPS(JIT)の進化度合いを見える化し、検証、共有するためのものです。

このように、「企業全体の価値観、考え方をTPSモードに切り替える」活動は、TPSの本当の目的、狙い、経済的利益との関係(TPSと会計のメカニズム)を学び、管理会計のしくみを再設計する取り組みからスタートします。

そして、その運用によって、自律的に進化し続ける企業体をつくっていくのです。

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トヨタ生産方式(TPS Toyota Production System)と管理会計


○問題認識


「カネがない。しかしクルマはつくりたい」、ジャスト・イン・タイム(Just In Time:JIT)は、 半世紀以上前に、トヨタで誕生した方法です。

JITの成功(定着化)は、まとめて買えば安くなる、まとめてつくれば安くなるという考え方からの脱却を意味します。
しかし、一般企業のJIT導入活動は、思うように進みません。

その根本原因は、管理会計のしくみにあります。
すなわち、導入しようとするJITの考え方と、その会社が現在運用している管理会計の考え方が整合していない(むしろ逆機能になっている)という点です。

例えば、伝統的管理会計では、加工時間基準で原価を算出し、売上から原価を差し引いて利益を求めます。
また、それらを会計期間ごとに設定された予算との対比で業績を評価します。

このしくみは、前述の「まとめて買えば安くなる、まとめてつくれば安くなる」を肯定し
・在庫を減らせば利益が減る
・暇は、損に勘定される
・あらゆることが、今期のこと(利益)に絞られてしまう
になります。

JITの目的は、在庫削減(リードタイムの短縮)であり、暇をつくることです。
また、JITは会計期間に関係なく、日頃から一定のリズムで動き、日々の改善を積み上げることによって達成するものであって、期末に向かって特別なことをする(突然ペースを上げる、その反動でペースを下げるなど)ことは、JITの最大破壊要因であると言えます。

こうした矛盾を解消する管理会計のしくみを構築しないと、JIT導入の取り組みは、工場の製造、物流のやり方改善のレベルにとどまり、企業全体の意識、体質革新には到達できず、やがて工場の改善も停滞、縮小していくという現象が発生します。

○トヨタ生産方式(特に、ジャスト・イン・タイムに着目)と整合する管理会計


JITは、製品それぞれについて
①顧客要求タクトタイムに合わせる(売れるタイミングでつくる)
②リードタイムを短縮する(全体を同期させ流れをつくり、在庫を減らす)
活動です。

これにより
・売りをたてる(お客様を待たせない→お客様満足を向上する)
・(在庫が少ないので)陳腐化、廃棄などのリスクが少ない
・(在庫が少ないので)必要資金量が少なくてすむ→キャッシュがうく
・(在庫が少ないので)フロアが少なくてすむ→フロアがうく
・(リードタイムが短いので)時間、人が少なくてすむ→時間、人をうかす
を狙います。

会社(経営)は、「ういたキャッシュ」を活用して新たな商品を開発し、「ういたフロア、時間、人を活用して製造する」を目指します。

管理会計は、これらの実態を見える化するツールとして設計、運用します。

実態とは、一時点の結果ではありません。
そこにいたるプロセスを含めて「実態」です。

弊社製品のProSee、及びProSeeFirstは、こうした思想を組み込んだ世界で唯一の原価計算、管理会計ツールです。


原価管理システムProSeeについては、こちらのページもご覧ください